7.01

7.01:(第3回スピンエレクトロニクス専門研究会報告)

MRAMとスピン注入技術の進展

11月26日、機会振興会館において参加者58名を得て、応用磁気学会スピンエレクトロニクス専門研究会、ナノマグネティクス専門研究会、IEEE Magnetics Society Japan Chapterの共催で、第3回研究会「MRAMとスピン注入技術の進展」が開催された。
Carnegie Mellon UniversityのJ.Zhu氏は、シミュレーションを中心に、ス イッチングバラツキのメモリ素子形状依存性、非対称素子形状によるアステロ イドの形の制御,およびそのマージンの拡大,Toggle MRAM、磁性被覆配線,Ring shape メモリ素子、およびそれへのスピン注入書込みなどMRAMの重要課題に対する施策,アイデアを示した。
東芝の吉川氏は、MRAMにけるアステロイド曲線のオフセットおよびそのばらつきの問題に関して、MTJのピン層からの漏洩磁場が大きく関与していたこと、MTJエッチング技術とSAFピン層の磁性層膜厚制御により、アステロイド曲線のオフセットを制御することにより、ビット歩留まり改善効果があることを示した。
ソニーの屋上氏からは、スピン注入磁化反転を高速で行う場合には、熱アシストは期待できないので、イントリンジックな反転電流を下げる必要があることが指摘された。
東北大通研の千葉氏は、GaMnAs系では非常に小さな電流でスピン注入磁化反転や電流駆動磁壁移動が可能であるとの興味有る報告をした。
アネルバのジャヤプラウィラ氏からは、スパッタ法により作製したMgOバリヤを用いることにより室温で230%という大きなトンネル磁気抵抗効果が得られるというセンセーショナルな報告があった。電極はアモルファスのCoFeBでありながらMgOは(001)配向のきれいな結晶となるところがポイントであるという。大きなトンネル磁気抵抗効果は、完全単結晶のFe/MgO/Feトンネル接合について理論的に予想されていたが、電極がアモルファスでも良いということは 驚きだ。今後の発展が期待される。

(阪大 鈴木義茂、東芝 斉藤好昭、名大 綱島 滋)

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