31.05
- 分野:
- スピンエレクトロニクス
- タイトル:
- 有機半導体バリア層を用いた磁気トンネル接合TMR効果を室温で発見
- 出典:
- Physical Review Letter 98, 016601 (2007)
- 概要:
- 2007年1月5日発行Physical Review Letter誌において、MITのSantosらにより、有機半導体バリア層を用いた磁気トンネル接合において室温でのTMR効果の発見が報告された。有機化合物を用いた安価な磁気抵抗素子実現の可能性を示す結果であり、今後の発展が期待される。
- 本文:
- MRAMや磁気ヘッドで利用される磁気トンネル抵抗素子では、Al酸化物等の酸化物系バリア層が用いられてきた。一方、バリア層として有機化合物を用いた磁気トンネル接合では、200K以下の低温においてTMR効果が観測されていたが、室温におけるTMR効果はこれまで報告されていない。今回Santosらは、有機半導体Alq3をバリア層として用いたCo/Al2O3/Alq3/Co接合が、室温でのTMR効果(4.6%)を示すことを発見した。この結果により、有機化合物を介したスピン伝導が室温においても可能であることが示された。本報告のTMR効果は酸化物系バリア層を用いた場合に比べ小さい値ではあるが、有機化合物を用いた安価な磁気抵抗効果素子が実現する可能性を示した意味は大きい。今後の研究の進展に期待したい。
(東芝 中山昌彦)