44.01
- 分野:
- スピンエレクトロニクス
- タイトル:
- CoCrPtワイヤを用いてドメインウォールの電流駆動に成功
- 出典:
- Appl. Phys. Expr. Vol. 1 No. 1 (2008), 011301
- 概要:
- 京都大学とNECのグループは、CoCrPtワイヤを用いて、垂直磁化膜のDomain Wall(DW)を電流のみで駆動させることに成功した。
- 本文:
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電流駆動によりDomaim Wall(DW)を動かすことで、スピントロニクス素子を作製する研究が行なわれているが、実用化のためにはDWを動かすために必要な電流を低減させることと、外部磁界を印加したときにDWが移動しにくいことが必要とされる。京都大学とNECのグループは、DWのピニング磁界が約500 Oeと高いCoCrPtワイヤを用いて、垂直磁化膜のDWを電流のみで駆動させることに成功した。
CoCrPtワイヤはPt(2nm)/Co63Cr11Pt26(8nm)/Ru(2nm)/Ta(5nm)の構造のものを280nmの幅に加工し、更にDWを導入するためにCoCrPt層を2nmエッチングした領域を形成した。そして、このCoCrPtワイヤに1.3×1012 A/m2の電流密度で8.2 μs幅の電流パルスを印加し、DWが移動していることをMFMで観察し、電流を反対側に流すとDWが逆に動くことも確認した。
現状はDWを駆動する電流密度が高く、今後は電流密度を低減することでメモリなどへ応用される可能性が高まると考えられる。
(NEC 末光 克巳)