5.03
5.03:第28回MSJ学術講演会
室温で230%のTMR 比を実現-磁気ヘッドへの適用も視野に
MgOの研究は、2001年の理論的な示唆から加速されているが、産総研の今回の発表により、実用化がさらに加速される可能性がある(産総研24aD-4)。MgOは単結晶であり、完全スピン分極した電子がトンネル伝導(コヒーレントトンネル)し、巨大なTMR比を実現できる可能性がある。一方Al2O3は、アモルフアスであるためインコヒーレント伝導となる。単結晶MgO基板にFe(001)/MgO/Fe(001)構成をEB蒸着で形成し、190%を実現、さらにアネルバのスパッタ装置で230%を実現した。これらの膜はMRAMを想定し、MgO膜厚が2.1nmと厚く、このことがTMR比を高くしている。磁気ヘッドに適用するには膜厚をもっと薄くする必要があり、現状のGMRヘッドに代わって、実際にHDDに適用されるにはまだ多くの課題が残されている。この主たる成果はすでに他国際誌にも発表されているが、磁気ヘッドへの適用がいよいよ視野に入ってきたという意味で本講演後の動向が注視される。
(日立GST 福井)