11.03(Intermag 2005)
- タイトル:
- ハーフメタルを使用した磁気ヘッドの実現可能性が見えてきた (Intermag2005から)
- 概要:
- アルプス電気はホイスラー合金を用いたデュアルスピンバルブタイプの 高出力 CPP-GMRヘッドを開発した.
- 本文:
- アルプス電気はホイスラー合金を用いたCPP-GMRヘッドを作製し,素子単体で 15%,ヘッド組み込みの状態で11%を超す大きなGMRを実現した.薄膜の構造はフルホイスラー合金をフリー及びピン層に用いてCuと積層し,両側にRuを介した積層フェリピン層を設けたデュアルピン構造である.ホイスラー合金の組成は明らかにされていない.素子抵抗RAは80mΩμm2であり,抵抗変化dRA=9.1mΩμm2であった.ヘッド(トラック幅70nm,素子高さ60nm,膜厚54nm)に組み込んだ状態での抵抗値は26Ωで,センス電流4mA時に1.4 mVの出力を得ておりSNRは15dBであった.再生波形,トラックプロファ イルともにCIP型に比べて遜色はなかった.従来CPP-GMRヘッドは抵抗変化率が2-3%と小さいことが問題であった.スピン分極率の高いホイスラー合金を用いることにより,今回10%を超す変化率が得られたことは非常に注目される.デュアルピン構造のため膜厚が54nmと厚いため,今後の狭ギャップ化へ対応するためには薄膜化が必要であろう.高い磁気抵抗変化率を維持しつつ薄膜化を実現できるかどうかが実用化への課題の一つとなると思われる.
(産総研 久保田均)