17.05
- 分野:
- 磁気記録
- タイトル:
- ナノスケール磁性ロッドによるパターン形成
- 出典:
- 50th Annual Conference on Magnetism and Magnetic Materials San Jose, CA, (2005/10/30-11/3)
- 概要:
- 磁気記録用パターンドメディアの作製方法に関する。エアロゾルから形成したFe微粒子を基板に導き、磁界を印加しながら成長させると膜面に対して垂直方向にFe微粒子チェーンができた。このチェーン形状を制御すれば、高密度磁気記録媒体に適用できる。
- 本文:
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磁気記録において、面記録密度をさらに高める為に、ディスクリートトラック方式、パターンドメディア、熱アシスト記録などが提案されている。このなかで、パターンドメディアは、現状の問題を将来的にも回避できる可能性があるので精力的に研究が進められている。パターンドメディアの形成方法の特徴は、その加工サイズが40nm以下であることから、ナノインプリント技術と薄膜の自己組織化を巧みに組み合わせていることである。
さて、上記の論文では、噴霧状態から形成した直径=約10nmのFe微粒子を基板に導き、膜面に対して垂直方向に外部磁界を印加しながら成長させている。基板上に最初に付着した一層目の微粒子の磁化は外部磁界方向に向くので、それを核として二層目の微粒子も最初の微粒子の上に付着する。このようにしてFe微粒子がチェーン状に成長していくが、膜厚が厚くなってくると(チェーンが長くなると)、チェーン同士が束を形成するようになる。膜厚、束の間隔、外部磁界の大きさなどの関係を調べたところ、束の間隔は外部磁界を大きくするほど狭くなることが分かった。このような基礎検討をもとに、実際に記録媒体に適用する場合の具体的な方法を紹介している。
マスタ基板には、磁性微粒子を付着させたい部分に透磁率の高い材料を埋め込んでおく。このマスタ基板に外部磁界を印加しながら微粒子を成長させた後、空間をフィラーで埋めて固化する。マスタ基板の反対側に媒体用基板を貼り付け、マスタ基板をはがすと垂直記録媒体を得ることができると説明している。残念ながら、最終的に得られた媒体に関する記述は無い。
記録密度を高める為には多くの知恵を必要としていることからアイデアの一つとして紹介した。
(富士通研究所 松本 幸治)