73.01

分野:
磁気記録
タイトル:
差動型再生ヘッドによる高分解能再生の実証
出典:
第34回 日本磁気学会学術講演会 5aA-5,5aA-6
 
 
概要:
つくば国際会議場で開催された第34回日本磁気学会学術講演会において、従来のシールド型再生ヘッドより高い分解能を有する差動型再生ヘッドに関する発表が行われ、実際に試作したヘッドを用いたときの高記録密度での規格化再生出力やエラーレート評価が現行ヘッドよりも優れていることが実証された。
 
本文:

 垂直通電(CPP)型のセンサを直列に配置することにより現行のシールド型再生ヘッドより高い再生分解能を有する差動型再生ヘッドについて、その特性の解析や実証実験に関する発表が日立製作所の椎本、片田らにより行われた。

 逆極性の感度を有する2つのCPP素子を直列に配置することにより、シールド型ヘッドで得られる矩形波ではなく、単峰型再生波形を得ることに成功している。今回は素子間距離が28nm、25nmの2種類について試作した報告がなされ、現行型シールドヘッド(シールドギャップ長:35nm)と比較したデータが提示された。特に、線記録密度300kfciから1500kfci程度まで明確な規格化出力の向上が確認され,ビットエラーレートにおいてもゲインが確認された。また、素子間距離はビット長に対して適切な値があり、これについてはシミュレーションを用いた解析によりビット長程度の素子間距離が適当であることが明らかになった。さらに,現行型ヘッドのシールド間隔を狭めることが困難になる将来の高記録密度領域において,差動ヘッドの優位性が大きくなっていくことがシミュレーションにより示された。

(東北大通研 三浦健司)

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