222.01

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【分野】磁気記録

【タイトル】熱アシストによる三次元磁気記録用のFePtグラニュラ媒体の開発と多値記録の実証に成功

【出典】
・P. Tozman, S. Isogami, I. Suzuki, A. Bolyachki, H. Sepehri-Amin, S.J. Greaves, H. Suto, Y. Sasaki, T.Y. Chang, Y. Kubota, P. Steiner, P.W. Huang, K. Hono, Y.K. Takahashi, “Dual-layer FePt-C granular media for multi-level heat-assisted magnetic recording”, Acta Materialia, 271, 119869 (2024).
DOI : https://doi.org/10.1016/j.actamat.2024.119869
・物質・材料研究機構 (2024年プレスリリース)
https://www.nims.go.jp/press/2024/03/202403270.html

【概要】
物質・材料研究機構(NIMS)はSeagate Technology、東北大学、科学技術振興機構(JST)と共同で、ハードディスクドライブ(HDD)において磁気記録媒体を三次元化することで多値記録が可能であることを実証した。

【本文】
ビッグデータを支えるデータストレージにおいてHDDの役割は依然大きく、その大容量化は引き続き期待されている。実用化された熱アシスト磁気記録(HAMR)方式においても面記録密度の向上に結晶粒微細化は不可欠であるが、FePtであっても結晶粒径が4nm未満であれば磁化の熱揺らぎが顕著になるため、新しい記録コンセプトが必要である。
本研究では、記録媒体の上層と下層を異なるキュリー点のFePt層で構成し、熱アシスト方式で上層、下層を別々に記録する多値磁気記録が可能であることを実証した。下層のキュリー点を上層よりも高くすることで、まず最初にレーザー出力を高くして下層を記録し、次にレーザー出力を低くして上層を記録する2パス記録を可能とする。非晶質炭素中に分散したルテニウム (Ru) 粒子をスペーサーとすることで、格子整合したFePt/Ru/FePtの単一粒子を作製し、上下のFePtを独立なものとして、FePtの記録層を3次元的に配置したところ、上下のFePt層がそれぞれ異なる磁化反転とキュリー点を示した。また、上記の実験で得られた特性を踏まえたマイクロマグネティクス多値記録シミュレーションを2パス記録で行ったところ、4つの異なる磁化状態(↑↑、↓↑、↑↓、↓↓)が確認されており、媒体の微細構造、磁気特性の改善や記録条件の調整により、今後さらに高い面記録密度の実証が期待される。
(岩手大学 三浦健司)

図 熱アシスト磁気記録HDDにおける現在の2値磁気記録技術と比較した多値磁気記録の概念図。

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