221.03

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【分野】磁気応用

【タイトル】アンテナ一体型シールドパッケージなどを用いたBluetoothモジュール

【出典】
(1)FDK新着情報 (2023年9月)
https://www.fdk.co.jp/whatsnew-j/release20230901-j.html
(2)FDK新着情報 (2024年5月)
https://www.fdk.co.jp/whatsnew-j/release20240527-j.html
(3)東芝ニュースリリース (2023年9月)
https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2023/09/news-20230901-01.html
(4)東芝レビュー(2024年5月)
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/jp/technology/corporate/review/2024/03/f03.pdf

【概要】
 基板占有面積が世界最小となるBluetooth® Low Energyモジュールが開発され,サンプル出荷が始まった.健康管理や運動分析などのウェアラブルデバイスとして様々な応用が期待される.

【本文】
「Bluetooth® Low Energyモジュール」(Fig. 1)の占有面積を極小化できるアンテナ設計技術SASPTM (Slot Antenna on Shielded Package)は東芝が開発した。SASPTMは、近年モバイル機器向けICで採用が多くなった封止樹脂を金属でコーティングする電磁波シールドパッケージ上に,スロットアンテナを一体化し形成する技術である.スロットアンテナは,グラウンド内に溝を形成することでスロットに沿って等価的な磁流を励起し,電磁波を放射するアンテナであるが,アンテナ近傍にグラウンド配線を配置しやすくなる特長がある.モジュール内でアンテナとグラウンドを適切に配置することで,アンテナとアンテナ近傍の配線の電磁気的な結合をグラウンド配線により遮断することができ,Fig. 2(b) に示すように,モジュール直下のみの狭い配線禁止エリアを実現した.従ってプリント基板の表面だけでなく,裏面のモジュール直下の部分にも配線や部品の搭載が可能となる.小型機器を設計する際に,センサや電池を基板に実装する場合も多いが,モジュールの直ぐ近くに電子部品を配置する場合,プリント基板の小型化が可能となる.
高周波磁気応用技術でもあるSASPTMにより,アンテナ周辺の配線禁止エリアが不要となり,センサや電池などのモジュール周辺部品の配置の自由度が一層向上する.
これらの技術と,FDKがもつ高密度実装技術および独自の小型シールド樹脂印刷技術により,当該モジュールは3.5mm×10mmまで小型化され,配線禁止エリアを含む基板占有面積が世界最小となるBluetooth® Low Energy モジュールを実現した.FDKは2023年10月より国内の一部の顧客向けに2024年3月より海外向けにサンプル出荷を開始した.また同社は、サイズは同じものでセンサ等のデジタルデータをBluetooth® Low Energy で送信することに特化した廉価版の新モジュールも国内で7月からサンプル出荷予定である.
当該モジュールは,各種ウェアラブルデバイスに導入できる可能性が高く,さらに各種センサと組み合わせることで,健康管理や運動分析,子供や高齢者の見守りや,工場・農作業の効率化などさらに広い範囲での活用が期待される.

(信州大学 曽根原 誠)

Fig. 1 「Bluetooth® Low Energyモジュール」の外観写真(出典(3)より引用)

Fig. 2 基板占有面積の比較 (出典(4)より引用)

※ Bluetooth®ワードマークは、Bluetooth SIG, Inc.が所有する商標です。

※ SASP™は、株式会社東芝の登録商標です。

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