第152回研究会報告
「磁気と光の先端技術と高密度ストレージの将来」
日時:2007年1月31日(水)13:00~17:30
場所:化学会館
参加者:96名
講演内容:
- 「テラバイトストレージテープを実現する高密度磁気記録技術」
小野寺誠一(ソニー)
安価で大容量、高転送レートのストレージシステムへの要求が高まる中、磁気テープストレージの高記録密度化が重要になってきている。講演では、テラバイト以上を実現するマルチチャンネルGMRヘッド、低ノイズ蒸着テープ、新しいノントラッキング技術に関して最近の動向について報告した。
- 「磁気記録技術の最先端と将来展望」
三浦義正(信州大)
HDDにおける磁気記録技術の進展経緯と、最新技術の状況と課題を述べた後に、今後の磁気記録技術としてはパターン媒体技術を選ぶことが合理的であることを述べた。
- 「磁気記録・光記録における非伝搬光の利用と近接場記録の将来展望」
尾留川正博(松下電器)
近年、SIR (Solid Immersion Recording)やHAMR (Heat Assisted Magnetic Recording) 等の研究開発の進展により、光記録、磁気記録双方の分野で現実味を帯びつつある近接場記録について、その技術動向を解説した。
- 「3Dホログラフィックディスクの高密度記録技術」
福本 敦(ソニー)
記憶容量1テラバイト超を目指す次世代の光データストレージの候補の中で、近年ホログラフィックディスクへの関心が急速に高まっている。講演では、先行する記録方式であるポリトピック方式とコアキシャル方式の高記録密度化の現状を紹介した。
- 「ストレージアプリケーション新時代」
久保川昇(IT総合研)
2006年のHDD総出荷台数は、2005年比14.8%増の4億3400万台/年程度となった。このうち18.1%がデジタル家電向けに出荷されている。講演ではこの新しいアプリケーションの動向とHDDの需要見通しについて概説した。
今回の研究会では、世界中のデジタル情報の増大とともに発展を続けるストレージ産業とそれを支える磁気記録、光記録の先端技術について、最新の動向と将来展望をご紹介いただき、活発な議論が行われた。磁気テープではマルチチャンネル・ノントラッキング技術、HDDではパターン媒体、光記録ではSIL方式記録、近接場記録、3Dホログラフィック記録など、今後本命になると考えられる新しい技術の実用化への展開が急務であることを実感させられた。また、同じストレージでも異分野の最新動向を聞くことで、互いに共通する課題や新しい発想を見つけるきっかけとなる有意義な研究会であった。