第158回研究会報告 第24回ハイブリッド記録専門研究会報告
「次世代高密度磁気記録:パターンドメディアかハイブリッド記録か」
日時:2008年2月1日(金) 13:00-17:30
場所:化学会館 7階ホール
参加者:114名
磁気記録技術が懸念する密度限界を打破する技術、ポストグラニュラー媒体の視点から有力視されている、熱アシスト磁気記録、ビットパターンドメディアの両技術に着目し、最新の研究成果をご紹介していただいた。非常に多くの参加者による、熱気に満ちた活発な討論がなされ、磁気記録の将来の可能性を十分に感じることの出来る有意義な研究会であった。
講演内容:
- 「近接場光ヘッドによるパターン磁気媒体への熱アシスト記録」
松本拓也(日立)
浮上スライダに搭載した三角型金属プレートを利用した近接場光発生素子を用い,ドット径20-25nmのCo/Pdビットパターンドメディアへの熱アシスト磁気記録を試みた.その結果,単一ドットの磁化反転を確認,これは800Gbit/inch2の記録密度に相当する.
- 「集光導波路を用いた新規熱アシスト磁気記録ヘッド」
上田裕昭(コニカミノルタ)
新規な熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を提案した。導波路型光学系を試作し、200nm程度に集光できること、および、シリコン上の金プラチモンアンテナと近赤外光の組み合わせでプラズモン増強が起きることを確認した。
- 「1Tbits/inch2の記録密度を目指した小型プラズモンヘッドの開発」
渡辺 哲(ソニー)
ハイブリッド記録を前提に、新たな表面プラズモンヘッド構造を考案し、FDTD(Finite-diff
erence time-domain)法を用いて近接場光のシミュレーションを行い、スポットサイズが16nm×24nmで、磁界コイルによる光学的増強効果を確認し、半導体レーザとヘッドをカップリングできる可能性を示唆した。
- 「ブロックコポリマーを用いたハイブリッド記録用パターンドメディアの作成」
稗田泰之(東芝)
将来の高密度ハードディスク媒体として、熱アシスト記録用ビットパターンドメディアを開発した。Co/Pd人工格子膜をPS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタアクリレート)自己組織化ポリマ-マスクで加工し、直径20nmドットパターンを得た。加工による熱磁気特性の劣化は見られなかった。
- 「ナノインプリント法により作製された秩序配列アルミナナノホールパターンドメディア」
大島弘敬(富士通研)
ナノインプリント法を用いた秩序配列アルミナナノホールパターンドメディアの実現と、作製されたパターンドメディアの動的記録/再生測定の結果について報告した。
- 「高密度パターン媒体の作製と評価」
安居伸浩(キヤノン)
陽極酸化アルミナの技術での高密度パターン媒体の作製において、従来の磁性体のホールへの充填での問題点を解消するには、新プロセスで作製した突起形状への磁性体被覆が有効であることを示した。