第182回研究会報告 第11回光機能磁性デバイス・材料専門研究会
「光が拓く磁気の世界」
日時:2012年1月31日(火)13:00~17:00
場所:日本化学会館
参加者:20名
今回の研究会では、磁気と光の相互作用である磁気光学効果を中心として、光を用いることで拓かれる新しい磁気の世界について、本分野において第一線でご活躍の講師の方から,以下に概要を記す最新の研究成果5件が報告された。いずれも興味深く、活発な討論が行われた。
講演内容:
- 「スピンフォトニクス」
宗片比呂夫(東工大)
光とスピンを組み合わせて起こる新規な現象と材料がデバイス応用に結びつくとしたら、どんな出口がありそうかについて論じた。具体的には、パルス光による磁化の超高速制御ならびに光メモリー機能を取り上げた。
- 「光情報信号記憶・読み出しに向けた強磁性金属集積半導体レーザ」
清水大雅(東京農工大)
半導体光アイソレータ、非相反半導体レーザの研究の現状、応用と課題について紹介し
た。一方向増幅特性は従来の光アイソレータにはない特長であり、リングレーザの一方向
発振化、光非線形性の向上等、光情報信号処理への応用が可能である。 - 「コリニア磁気体積ホログラム」
井上光輝(豊橋技科大)
光の干渉縞を磁性体の磁化として、膜面だけでなく膜厚方向(3軸方向)にも記録した結果について報告した。本方式は磁化状態で情報を記録できるので、繰り返し記録が可能となる。記録の原理、回折効率等の定量評価、ノイズの少ない記録方法の検討、多重記録に関する定量評価について示した。
- 「光パルスで誘起されたスピン波の時間・空間分解測定」
佐藤琢哉(東大)
フェムト秒光パルスを用いてBiドープ希土類ガーネットに誘起したスピン波の伝播をポンプ-プローブ法で観測した。誘起されたスピン波は静磁波の一種で、その伝播特性は分散関係から導いた計算とよい一致を示した。
- 「磁気光学式空間光変調器:高速空間位相変調器やホログラフィック3Dディスプレイへの応用を目指して」
高木宏幸(豊橋技科大)
ホログラムデータストレージや 3次元ディスプレイに向けた高速・低消費電力駆動・光利用効率が高い磁気光学空間光変調器および、ナノスケールのピクセルを持った磁気光学空間光変調器の開発状況を示した。